◇有限会社むし社 発行 月刊むしNo.418 31ページより引用
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モロンオオカブト Dynastes (Dynastes) hyllus moroni Nagai (新亜種)
ヒルスオオカブト・サンタマルタ山脈亜種
(モロンオオカブト) (Figs. 1-3, 14)
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本新亜種(モロンオオカブト Dynasties hyllus moroni)は,近年Moron博士により記載されたヘラクレスオオカブトのもっとも北に分布する亜種D.Hercules tuxtlaensis Moron, 1993と同じ産地であるVeracruz州南部の独立した山塊Santa Martha山脈から発見された。
原名亜種とは,以下の特徴により区別される。丸カッコ内は,原名亜種の特徴。 |
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♂: |
*体は黒色で,前胸背板基部は濃黄褐色。小型個体では,角を除く前胸背板およびその側縁は非常に濃い黄褐色。
*上翅は周辺を除き淡い泥黄褐色で,会合部は黒色,その周辺は黒味を帯びる。
*頭部および前胸背板は光沢が強く,上翅では若干弱い(より強い)。
*頭部の突起の切断面は丸みを帯び(左右に偏平),大型個体の頭部の角の先端手前の小突起は細長い(低い三角形状か2〜3歯を伴う台形)。
*触角はすべての節が若干ではあるが明らかに長い(より短い)。
*前胸背板の角の側面観では一様に緩やかに湾曲し(中央が直線状のものが多い),角の基部は急に狭まらず(急に狭まる),側縁の小突起は非常に小さい(明瞭)。
*小楯板の点刻はやや大きく前半部では密,中央および後方では疎ら(基部を除き普通ほとんどない)。
*上翅は浅くて小さな点刻を疎らに備え(点刻は全体により微細),会合部に沿う点刻列は深く明瞭(点刻列は浅い),全体に弱く皺状を呈する(ほとんど平滑)。
*腹面全体は点刻が強く(弱い),毛は非常に短い(程度の差はあるが総じてより長い)。
*腿節,脛節および付節は細長い(より幅広く短い)。
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♀: |
上翅の基半部は非常に大きくて深い点刻で密に被われ,原名亜種と区別される。 |
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本新亜種(モロンオオカブト Dynasties hyllus moroni)は以上のように原名亜種とは異なる特徴を備え D.hercules的な特徴を有し,同所的に分布するD.hercules
に収斂しているとも考えられる。
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本新亜種名(モロンオオカブト Dynasties hyllus moroni)は,メキシコのコガネムシ類について多数の研究報告をされ,特にコガネムシ類の幼虫に関する研究では世界でもっともアグレッシブな存在であるDr.Miguel
Angel Moron-Rios に献名された。 |
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*【収斂(シュウレン)】 :
別の系統にも関わらず、同じ体型へと進化する現象は収斂進化と呼ばれる。 |